1. 02 KANSAI NOGUCHI





















行き先描けぬ道をゆく、自分に負けぬよう

語り 野口 寛斉

 ブラックミュージックのバンドボーカルをしたり、身ひとつで渡米したり、彫刻家の弟子入りをしたり、作陶したり、絵を描いたりしてきた僕は、先の見えない選択肢を選んで半生を歩んできました。それは今まで見たことのないものを見たい、作りたいと思うから。人が歩いた跡や自分の頭で想像できる方へと進めば「そういうもの」しか生み出せない。将来、何をしているかわからない人でいたいんです。ふらふらしていたいわけじゃないですけれども、底が知れないというのかな。そういう人でありたい。人生いつか駄目になったらリヤカーを曳いてでもやり直していける力が自分にはあると信じているので。感覚的に失うものはないと思うんです。
一方で、絵にしても陶芸にしても、もとよりあまり成功しないものだと思って取り組んでいますね。思うようにいかないけれども、たまに成功したものが出てくる。それを念頭に置いて、僕はただ本当に作るだけです。評価は人がするもの。僕は自分に負けないようやりきるだけです。作っている時はもう文句ばっかりですよ。独り言で。腹が立ってものをぶん投げたりします(笑)。でもそういうのは大事なんじゃないかな。そのくらい負けず嫌いだからなんとかやれているような気がします。
僕は彫刻家に学んだので、触れれば触れるだけ良くなる、触れるほどに魂がのると教えてもらいました。なかなか難しい教えで、削ってから、ひと筋の線を加えてから、「やらかした、全部駄目になってしまった」という場合もあります。その見極め、引き際のようなものがセンスで、審美眼で、目の力と呼ばれるものなんでしょうね。その精度は高め続けていきたいです。あとは作家の勇気のようなもの。「これで作品って言い切るんだ、すげえな、俺もやってみたいな、ちくしょう」みたいな微妙なところで出せる潔さ。いいですよね。
でも大丈夫。というか、自分のピークは50 代後半から60代だと思っているので、今はひとつひとつ小さな光を目印に少しずつ前に進めればいつかちゃんと辿りけるのかなと。それを自分で信じて進む。それだけです。


行き先描けぬ道をゆく、自分に負けぬよう

語り 野口 寛斉

 ブラックミュージックのバンドボーカルをしたり、身ひとつで渡米したり、彫刻家の弟子入りをしたり、作陶したり、絵を描いたりしてきた僕は、先の見えない選択肢を選んで半生を歩んできました。それは今まで見たことのないものを見たい、作りたいと思うから。人が歩いた跡や自分の頭で想像できる方へと進めば「そういうもの」しか生み出せない。将来、何をしているかわからない人でいたいんです。ふらふらしていたいわけじゃないですけれども、底が知れないというのかな。そういう人でありたい。人生いつか駄目になったらリヤカーを曳いてでもやり直していける力が自分にはあると信じているので。感覚的に失うものはないと思うんです。
一方で、絵にしても陶芸にしても、もとよりあまり成功しないものだと思って取り組んでいますね。思うようにいかないけれども、たまに成功したものが出てくる。それを念頭に置いて、僕はただ本当に作るだけです。評価は人がするもの。僕は自分に負けないようやりきるだけです。作っている時はもう文句ばっかりですよ。独り言で。腹が立ってものをぶん投げたりします(笑)。でもそういうのは大事なんじゃないかな。そのくらい負けず嫌いだからなんとかやれているような気がします。
僕は彫刻家に学んだので、触れれば触れるだけ良くなる、触れるほどに魂がのると教えてもらいました。なかなか難しい教えで、削ってから、ひと筋の線を加えてから、「やらかした、全部駄目になってしまった」という場合もあります。その見極め、引き際のようなものがセンスで、審美眼で、目の力と呼ばれるものなんでしょうね。その精度は高め続けていきたいです。あとは作家の勇気のようなもの。「これで作品って言い切るんだ、すげえな、俺もやってみたいな、ちくしょう」みたいな微妙なところで出せる潔さ。いいですよね。
でも大丈夫。というか、自分のピークは50 代後半から60代だと思っているので、今はひとつひとつ小さな光を目印に少しずつ前に進めればいつかちゃんと辿りけるのかなと。それを自分で信じて進む。それだけです。






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