1. 01 MAKOTO KAKIZAKI















技に謙虚に、揺るがぬ信念を後進へ託す
語り 蠣﨑マコト


 元々は透明な樹脂を使って作品を作っていたので、同じく透明なガラスという素材でなにか作ってみようと思ったのがきっかけ。とはいえガラスも別に透明なものをやろうと思ったわけではなくて、いつの間にか透明になって。今の作風も、形で言えば師匠が「まっすぐ作る、きれいな形で作る、同じものは同じサイズで作る。」を大事にしている人だったから。技術的にそれができて当たり前なのがまず、最初。その上で自分の形を作るようになっていって。自分の形というと、模様や色をなくして、吹きガラスでできる形を追求し始めた。だから透明なガラスに余計なものを入れない。形を一生懸命考え、色も考え、となると自分の中では曖昧になるし、自分は形について妥協ができないから、今のところは形と色の両立は難しいかな。
 それは師匠の存在が大きい。技術がある師匠のところに弟子入りできたから良かったと思っていて、当時やっていた事と、今やっている事は変わらず、師匠がやっていた事と変わらない。だから技術はシンプルだけど、そのシンプルなことをきれいにするっていうのが、やはり大事。大事というか、カッコいいと思っている。吹きガラスって、練習をしたからといって上手くなるものではなく、経験や時間の経過で上手くなる。自分が持っている技術、できることをフルに活かせるようになって、できなかった形もスッとできるようになる。技術の積み重ねにしても、もっと上手くなったらいいなとは思うんだけど、反面今でも十分だなとも思う。自分が考える形が作れるのであればいいと思うし、同じものを早くたくさん作れることを目指しているかと言われたら、決してそうではないんだけど、一個一個大事に作っていくっていうのが、まずは第一かな。
 ロンドンで展示をしたり、ニューヨークで展示したり、海外で展示をするのが今の目標だけど、展示が終わりではないし、終着点は動いていく。でもいつかその先に、子供やアシスタントに教えたり、人前に立って何かを話したりだとか、次の世代に伝えていく気がしていて。そういうことをした方がいいなって。俺、結構教えるの好きだしさ。