1. 03 YUKI KUBOTA















手を動かす心地好さ、用の美のもの作り
語り 久保田由貴


 美大の時に作っていた物は、方向性が全然違うなという風に感じていて、作っているジャンルがアート。作りたい物の筋書きを立てて、大きな物などを作っている時は楽しいんです。だけど出来上がって、結局役に立たない物では? とか、役に立たない上に作り終わったら壊したりして、これは一体何だったんだろう、と疑問が湧いていました。自分が使う物を自分で作りたいと思っていたわけではないのですが、作りたい物は何かというと、半々。日常で使うけど、ただ飾って置いていてもいい物。両方が一緒になっている物が作りたいと思っています。
 作家、陶芸家でもやっていることは職人と同じです。作家はデザインも考えなきゃいけないぐらいで、作るのは基本同じです。同じ物を作っていって、ちょっとずつ形を変える、もうちょっとバランスを、重心を、位置を、そういった細かい所を細かく変えていくのも大切だと思うんです。少しずつ、でも変わっている。というか、ちょっとずつ新しく足されていく感覚かな。やっぱり今の方が断然良くなっていますよ。
 立ち姿が美しいと言うと抽象的ですけど、パッと目に入った瞬間にその物の線が綺麗とか、横から見た時に浮かぶシルエットなどをよく考えています。器が、何も入っていない状態で置いてあっても綺麗に見えているという状態が良くて、雰囲気があるというか、個性として面白味のある物ということ。
 頭の中にこう、もやもやとああいうのが作りたいというのがあり、それでいろいろ紙に書き出してなんだかんだとデザインしてみて、やってみて、こうした方が良かったかもと何度も新しい物を作っては、違う違うって繰り返して、出来上がるのは1 年くらいかかります。そうして焼き上がった時は感動しますよ。作りたかった物が出来上がる達成感ですかね。
 自分らしいと思う物を作ることができる、そのための技術でもあるし、技術を高めてもその行き着く所がわからないようなら面白いとは思えません。私は自分の作りたい物を作るために、釉薬の研究やいろいろな勉強でもなんでもして、気がついたらいろいろと作れるようになっているといいなって。